Winkなたわごと

1.乳がん発覚の頃
 子どもが、中学生・高校生になり、我が子を通してできた友達も、次々とパートに出かけて子育て現場を卒業していった。
 けれど、私は友達作りの楽しさを発信し、子育て支援からの引き際を見定められずに過ごしていた。
 そんな流れの中で、私に可能なパートは、週に2日、3件を受け持っての在宅介護ヘルパーだった。
 ヘルパー訪問をする中に乳がんの手術を受けた方がいて、訪問する度に乳がんの話を聞かされた。
 子育て支援で知り合った看護士さんに、情報誌掲載用の原稿を依頼したところ、「がん検診を受けましょう」という内容の原稿を書いてくれた。

 いろいろな偶然が重なっていなかったら、私が乳がんに気付くのは、もっと後になっていたと思う。

 人の出会いとは、不思議なもので・・・
 運命やら、寿命やらを変えてしまうこともあるのだ。
 でも、人との出会いは運命なのかもしれないし
 変えられたそれが寿命なのかもしれない。

 2004年2月、「乳がん検診を体験してきたよ」と、笑って報告するつもりで病院を訪ねた。
 「ここにありますねぇ」と医者に言われ、さわってみたら確かにしこりがある。
いつからだったかなぁ?オッパイに1本のシワが入っていることには気付いていた。
 でも、そのシワが、しこりのせいでできているなどと思ってもみなかった。
 不思議な感覚だった。疑いもなく病院を訪れて、心配もしていなかった突然の出来事だった。
 突然すぎて、自分のことなのに自分のことではないような気がした。まるで他人事。


 大変なことを受け止める準備が私にできていないための自己防衛反応なのか、本当に大変なことではないと思っていたのかよく分かりませんが、平気でした。
 平気でいる自分が、妙な感じさえしたのです。
 「これは何かの転機かもしれない」「私には、乳がんという肩書きができた」「入院してゆっくり休もう」などと思えるのは、これまでに出会ったみなさんのおかげ・・・などと本当に思えたのです。

 入院までの日々は、それまで以上に楽しく忙しく過ごしました。
 これまでに体験したことのないような充実した日々でした。
 でも、涙腺はゆるんでいました。理由もなく涙がだーだー流れる日もありました。

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